スタジオの前を通るたびに、中を見るのが女性ばかりという光景があります。体験を申し込もうとして「男性でも大丈夫かな」と、少し迷った経験のある方もいるかもしれません。
男性がピラティスを始めるとき、多くの人が感じるのは「場違いではないか」という感覚です。でも少し立ち止まって考えてみると、ピラティスというメソッドは、もともと男性が考案したものです。
ピラティスは、男性が作ったメソッドだった

ピラティスの創始者ジョセフ・ピラティスは、ドイツ出身の男性で、ボクサーや体操選手としての経歴を持ちます。第一次世界大戦中、負傷した兵士の体の回復を支える運動として「コントロロジー」と名づけた体の動かし方を体系化しました。それが現在のピラティスの原型です。
男性の体で、男性が開発した。「女性向け」というイメージは後から広まったもので、メソッドそのものの出発点ではありません。
この事実を知ると、「男性がやっていい場所か」という迷いが少し和らぐかもしれません。
男性の体に、ピラティスが向いている理由

男性は一般的に、筋肉の量が女性より多いと言われます。一方で、関節の柔軟性や体幹のバランス感覚は、鍛え方によって差が出やすい部分です。
重いものを持てる、走れる。でもデスクワークが続いて姿勢がくずれてきた。腕や脚は動くのに、体の中心がうまく使えていない感じがする——そういった感覚を抱えている男性は少なくありません。
ピラティスが整えようとするのは、まさにその「体の中心の使い方」です。
力を増やすことより、体のバランスを安定させること。動きの中で重心を整えること。そこに焦点を当てている点が、男性の体と相性がいいと感じる人が多い部分です。
姿勢と体幹、男性が変化を感じやすいのはなぜ?
ピラティスを続けることで変化を感じやすい部分として、姿勢と体幹の使い方がよく挙がります。男性の場合、筋肉がある分だけ「力で動かすこと」に慣れていることが多く、「力を抜いて整える」という感覚が新鮮に感じる方もいます。そのギャップが、逆に大きな気づきになることがあります。
姿勢が変わりやすくなる
長時間のデスクワークで肩が内側に入り、背中が丸まる。そのまま過ごすうちに「戻し方がわからなくなった」と感じる方がいます。
姿勢を「背筋を伸ばすこと」だと思っていると、力で形を作ろうとして疲れやすくなります。ピラティスが目指すのはそれとは少し違って、体のバランスが整うことで自然に背骨が落ち着く状態です。「作る姿勢」より「整う姿勢」のほうが続きやすいという感覚を持つ方がいます。
姿勢についてもう少し詳しく知りたい方は、ピラティスをやっても姿勢が変わらないと感じている方へも参考にしてみてください。
体幹の感覚がつかみやすくなる
「体幹を鍛えたい」という理由でピラティスを始める男性もいます。腹筋を固める、というイメージを持って来られる方も多いのですが、ピラティスが目指す体幹の使い方は少し違います。
固めるのではなく、動きに対して自然に反応する体の中心。その感覚をつかむのに、ピラティスの動きは向いています。
体幹についてもっと知りたい方は、ピラティスで体幹が入らないと感じている方へもあわせてどうぞ。
座って立ち上がる動作に、体の中心が現れる

難しいことをしなくても、自分の体の中心がどのくらい使えているか確かめられる動作があります。
椅子から立ち上がるとき、どこに力が入っているかを感じてみてください。太ももをぐっと使って立ち上がるか、体の中心からするっと起き上がる感じがあるか。前者と後者では、体幹の使われ方がかなり違います。
たとえば荷物を持ち上げるとき。腕だけで引き上げていたのが、体の中心から動けるようになると、同じ重さでも疲れ方が違ってくることがあります。長時間のデスクワーク後に背中がじわっと疲れる感じも、体の重心の使い方が変わると少しずつ変わってくることがあります。
ゴルフや水泳、ランニングなど、スポーツを続けている男性がピラティスを取り入れるケースもあります。フォームの土台になる体の使い方を整えたい、という目的です。動きの質を上げたいとき、筋肉を増やすこととは別のアプローチとして使われています。
毎日くり返している立ち上がりの動作が、体の中心の感覚を探すひとつの入口になります。
ピラティスの基本的な考え方についてはこちら。 → ピラティスの基本|力まずに動く、からだとの付き合い方
男性が「場違いかも」と感じなくなるまで
「男性でも通えますか」という問いかけを持ったまま、体験を先延ばしにしている方がいます。
スタジオに男性が少ないことを、ハードルと感じる方がいます。一方で、「だからこそインストラクターが丁寧に見てくれる」という声もあります。
ピラティスのレッスンは「競争」をしない場所です。隣の人より速く動く必要も、重いものを持つ必要もありません。自分の体の動きに集中できる場所です。
スポーツや筋トレを続けてきた男性が、ピラティスを体験したとき「なんか違う使い方をしてた」と感じることがあります。力でごり押しせずに体が動く感覚。それがどういうことかは、やってみないとわかりにくい部分ではあります。
ピラティスは「男性向けか女性向けか」より、「体の使い方を整えたいか」という問いのほうが大切かもしれません。姿勢が気になりはじめた、体幹の感覚をつかみたい、そういう方にとって試してみる価値のある入口だと思います。
体験では何をするのか、少しだけ
座って立ち上がるという、ごくシンプルな動作から体の使い方を確かめていく体験です。難しい動きをいきなりするわけではなく、自分のペースで体と向き合う時間になります。競争はありません。「今日の自分の体はどう動くか」を、ゆっくり確かめてみるような感覚です。
興味のある方はのぞいてみてください。


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