ピラティスで体幹が入らない、軸がぶれる。入れようとするほど逆効果になっていないか

"ピラティスで体幹が入らない、軸がぶれる。入れようとするほど逆効果になっていないか" 呼吸・体幹

インストラクターに「体幹を使って」と言われたとき、何をすればいいかわからなくてとりあえずお腹をぐっと固めた経験はありませんか。

固めながら動こうとすると息が詰まって、体がぎこちなくなる。動きの途中でぐらっとぶれて、また「体幹を意識して」と言われる。レッスン中ずっとそれを繰り返していると、終わるころには疲弊しているのに「使えた感じ」がしません。

体幹を意識するほどぶれる、力を入れるほど不安定になる。そういう感覚に心当たりがある方は、もしかすると「入れようとする」ことが体幹の動きを邪魔している可能性があります。

体幹を入れようとするほど、なんでぶれてしまうんだろう

体幹を入れようとするほど、なんでぶれてしまうんだろう

「体幹を入れて」という指示は、ピラティスのレッスンでよく使われる言葉です。でも「入れる」という動作のイメージが人によってまったく違うため、意図せずお腹や背中をぎゅっと固めてしまうことが多いのです。

体を固めると何が起きるか。筋肉が過剰に緊張した状態では、細かいバランスの調整ができなくなります。ちょうど、腕を力いっぱい張って何かを持とうとするとかえって手が震えるのと同じ感覚です。固めた状態では体の中の小さな調整が死んでしまって、かえってバランスが取りにくくなります。

体幹というのはインナーマッスルと呼ばれる深いところの筋肉の集まりで、これらは意識して動かそうとするより、体の姿勢や動作に応じて自然に反応するものです。「入れよう」と力を込めるほど、表面の大きな筋肉が先に反応してしまい、インナーマッスルが働くすき間がなくなっていきます。

固める力が強くなるほど、体の中心の細やかな反応が鈍くなっていく。だから入れようとするほどぶれる。これは努力が足りないのではなく、アプローチの方向が違うから起きていることです。

ピラティスで体幹の強化を目指すとき、「もっと力を入れなければ」という方向に進んでしまうと、感覚がつかみにくくなることがあります。「体幹を使う」とはどういうことか、もう少し別の角度から見てみましょう。

体幹が「入っている」って、どんな感じ?

体幹が入っている状態とは、お腹や背中がぎゅっと固まっている状態ではありません。もう少し柔らかく、動きに合わせて体の中心がすっと支えてくれているような感覚に近いです。

たとえば、椅子から立ち上がるとき。体幹が働いているときは、立ち上がろうとする動作に体全体がついてくる感じがあります。どこかに力を込めているというより、体の中からすっと動き出す感じ。逆に体幹がうまく使えていないとき、立ち上がろうとした瞬間に首や肩に力が入ったり、腰がもたっとする感覚があります。

ピラティスの動きの中でも同じで、体幹が機能しているときは動きが軽く、スムーズです。「頑張って支えている」感じより、「体が自然に動いている」感じに近い。力みが少ないほど安定が増す、という少し不思議な感覚です。

この感覚をつかむのが難しいのは、「使えている状態」が力を入れていないから実感しにくいからです。頑張っていないのに安定しているということが、慣れないうちはなかなか信じられません。「もっと力を入れなければ」と思って固めてしまう。それがまたぶれにつながる、というループが生まれやすくなります。

体幹の動作と姿勢のバランスの関係は、ピラティスをやっても姿勢が変わらないと感じている方へでも触れているので、あわせて読んでみてください。

力んで固めることと、安定することは別のことです

力みと安定は、一見似ているようで全く違います。固めることは一時的に動かなくするということで、安定とは動きに対して対応できることです。

スポーツでよく聞く「脱力」という言葉があります。力を抜くと逆に動きがよくなる、という経験をしたことがある方もいるかもしれません。力を抜いた状態のほうが反応が速く、バランスも取りやすい。これはインナーマッスルが機能しやすい状態になっているからです。

ピラティスで「体幹を強化する」という表現が使われますが、これが「固める力を強くする」というイメージにつながってしまうと、体幹の使い方が逆方向に向かいやすくなります。

体幹の強さというのは、重さに対してずっと耐える力ではなく、動きに対してその都度対応できる柔軟な反応力に近いものです。固める力を上げようとすると、その対応力が下がっていく場合があります。

呼吸との関係が気になる方は、ピラティスの呼吸が難しいと感じている方も参考にしてみてください。

「もっと頑張って固めよう」と思うほど、体幹はうまく働かなくなることがある。これがピラティスで「体幹が入らない」と感じる方の多くに起きていることかもしれません。

軸が整うと、体幹は自然に働きはじめる

立ち方や座り方が整うと、体幹の働きが変わったという方がいます。

以前、こんな方がいました。レッスンの前に「立ち方を少し変えてみましょう」と声をかけられた方です。それまで体幹を意識しようとするたびに体がこわばると感じていたそうです。でも立ち方を整えてからレッスンに入ると、同じ動きをしているのに体幹が「勝手についてくる」感じがした、と話されていました。

力んでいないのに体の中心が安定している。そういう感覚をはじめて経験したと。

体の使い方が整うというのは、「すごい技術を身につける」ということではなく、「余計な力が抜けて、本来の動きが出やすくなる」ということに近いかもしれません。

姿勢や動作のバランスが整うと、インナーマッスルは特別に意識しなくても自然に反応しはじめます。体幹を「入れよう」と頑張らなくても、体が動く流れの中で自然に機能するようになっていく。そういう変化を感じる方がいます。

ピラティスのインストラクターが「体幹を意識して」という言葉で伝えたいのも、こういう状態のことかもしれません。でもそれが「固めて」と受け取られてしまうと、方向が逆になります。

体幹の問題は、使えていないのではなく、使い方の方向がずれているだけのことが多いのです。

日常の中で試せる、体幹を「入れない」整え方

体幹は入れようとするものではなく、整えると自然に働くもの。では整えるとはどういうことか。

一番シンプルなのは、「立つ」という動作から見直すことです。普段の立ち方で、重心がどこに乗っているかを感じてみてください。つま先に乗りすぎていたり、どちらかの足に偏っていたりすることがよくあります。そこから、足の裏全体がすっと地面に接するような立ち方に近づけるだけで、体の中の支え方が変わってくることがあります。

ピラティスの動きでも、同じ感覚が使えます。動きを始める前に「今どこに力が入っているか」を感じる時間を少し取るだけで、その後の動きが変わることがあります。肩に力が入っていればそっと落とし、顎に力が入っていればすっと緩める。固めてから動くのではなく、緩めてから動く。

体幹を意識する前に、余計な力を抜く。そこから始めてみると、「入れよう」と頑張っていたときより体の安定が感じやすくなる方がいます。

座って立ち上がるという日常の動作も、体の整え方を確かめるのに向いています。そこから体幹の感覚を育てていくという入口もあります。難しいことをやろうとしているわけではなく、今までとは少し違う角度から体と向き合うイメージです。

「頑張って体幹を入れよう」という方向ではうまくいかないとすれば、「整えると自然に働く」という方向を一度試してみることが、変化のきっかけになるかもしれません。

ピラティスで効果が感じにくいという方には、ピラティスを続けているのに体が変わらない理由も参考になります。体幹だけの問題ではなく、体の使い方全体のことが書いてあります。

体の使い方を体験してみたい方へ

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