ピラティスの呼吸が難しい。息が合わないのは「呼吸だけ頑張っているから」かもしれない

"ピラティスの呼吸が難しい。息が合わないのは「呼吸だけ頑張っているから」かもしれない" 呼吸・体幹

レッスン中に「呼吸を意識して」と声をかけられる。

そのとたん、動きが止まる。吸うタイミングが分からなくなる。ひと呼吸遅れて、なんとかついていく。気がつくと、呼吸に意識を向けすぎてほかの部位がぎゅっと固まっている。

「自分だけ呼吸が下手なのかな」と思うけれど、実は同じ感覚を持つ人はとても多いです。そして、その難しさは「呼吸のやり方が悪い」からでも、「慣れていないだけ」でもないことがあります。

「呼吸を意識して」と言われるほど、なぜか息が詰まる

「呼吸を意識して」と言われるほど、なぜか息が詰まる

普段、呼吸は無意識にしているものです。

歩いているとき、話しているとき、特に何かを考えながら呼吸しているわけではありません。ところが「今から意識して呼吸してください」と言われた瞬間に、体はすっと固まりやすくなります。

これは意識が呼吸に向いたことで、本来自動的に動いていたリズムが崩れるからです。自転車をこぐとき「今、足をどう動かすか」を考え始めると急にぎこちなくなる、あの感覚に近いです。

ピラティスではさらに、動きのタイミングと呼吸のタイミングを合わせる必要があります。両方を同時に意識しようとすると、体はどちらかに力を入れてバランスを取ろうとします。その結果、お腹や胸がふわっと緩むどころか、じわっと固まった状態で動くことになります。

呼吸が難しいと感じるとき、多くの場合「もっと呼吸をうまくしよう」と力で解決しようとしています。でも、そこに別の見方があります。

胸式呼吸って、どんな呼吸なんだろう

ピラティスで「胸式呼吸」という言葉が出てきます。

簡単に言うと、お腹を動かさずに肋骨を横に広げるようにして吸う呼吸です。日常でよくやっている腹式呼吸(吸うとお腹が膨らむ)とは違う感覚なので、最初はとっさに切り替えにくいです。

横隔膜が動いて肋骨が開いていく感覚、と言われることがありますが、最初はそこまで細かく意識できなくても大丈夫です。「肋骨のあたりが少し膨らむかな」くらいの感覚で十分です。

ただ、ここで一つ大事なことがあります。胸式呼吸の「形」を一生懸命練習しても、体全体がぎゅっと緊張した状態では、なかなか感覚がつかみにくいということです。

呼吸は体の状態に左右されます。体がリラックスしているとき、お腹や背中の力みが抜けているとき、呼吸は自然に深くなります。逆に体がどこかで耐えているとき、呼吸は浅くなります。これは基本的な体の仕組みです。

きつい、と感じるのは「力んで耐えている」サインかもしれない

ピラティスがきつく感じるとき、「筋肉が弱いから」と思いやすいです。

もちろん筋力が関係することはあります。でも、きつさの感覚のなかに、もう一種類あります。力んで体を固めながら動いているときの「きつさ」です。

たとえば、体幹を意識しようとしてお腹をぐっと締め上げた状態で動くと、同じ動きでもぐっと負荷が高まります。体が安定しているわけではなく、力で固めて耐えているので、息が入りにくくなります。

「呼吸が難しい」と感じる瞬間に、どこかがふわっと緩んでいるか、それともぎゅっと固まっているかを、ちょっとだけ観察してみてください。もしお腹や背中、あるいは首のあたりに力が入っているなら、それが呼吸をさまたげているサインです。

呼吸を入れようとさらに頑張るほど、体は余計に固まります。息を吐ききろうとして胸やお腹をぎゅうぎゅう押し込もうとすると、次の吸う動作がしにくくなります。力を入れることと、整えることは違います。

きつさを感じたとき、「もっと体幹を使わないと」と思うより、「どこかで力んでいないか」と自分に聞いてみる視点が、呼吸の感覚を変えるきっかけになることがあります。

呼吸の練習をしていないのに、呼吸が楽になった人がいる

呼吸の練習をしたわけではないのに、気づいたら呼吸が楽になっていた、という経験をした方がいます。

ある方は、ピラティスのレッスン以外に、立ち上がる動作や座る動作の使い方を整えることに取り組み始めました。ぎゅっと力を入れて立ち上がるのではなく、体の重心の移動を使って自然に立つ感覚です。

それを続けていくうちに、レッスン中の呼吸がすっと入るようになった、と話してくれました。「吸って」「吐いて」を意識しなくても、動きに呼吸がついてくる感じ、と表現していました。

別の方は、レッスン中に「お腹を締めて」と言われると呼吸が止まる感覚があったそうです。そのまま呼吸の練習を続けていても変わらなかったのに、体全体の使い方を見直したら、お腹に力を入れなくても安定できる感覚が出てきた、と話しています。呼吸を意識する必要がそこまでなくなった、ということです。

すべての方に同じ変化が起きるとは言えません。ただ、「呼吸が入らない」という悩みの背景に、呼吸そのものでなく体全体の使い方があることは、あると思います。

呼吸と体の使い方は、切り離して考えるものではありません。たとえば、猫背ぎみに座った状態で深呼吸しようとすると、肋骨がうまく動きにくくなります。背中が丸まっていると横隔膜の動く余地が狭くなるからです。逆に、体の重心が安定して背骨が自然に整ってくると、呼吸のしやすさが変わります。呼吸だけを切り取って改善しようとするより、体全体の使い方と一緒に見ていく。その視点が、変化のきっかけになることがあります。

呼吸より先に、試してみてほしいことがある

呼吸をうまくしようとするより先に、体の力みに気づくことのほうが早道になることがあります。

レッスン中に一度、呼吸を忘れて「今、どこかに余計な力が入っていないか」を感じてみてください。首や肩がぎゅっとしていませんか。お腹を固めすぎていませんか。息を止めていませんか。

そこに気づけたとき、ふっと力を緩める。それだけで、次の呼吸がすっと入ってくることがあります。

胸式呼吸の形を正確に覚えることより、体が整ったときに呼吸がどう変わるかを感じることのほうが、先になっても構いません。

ピラティスの呼吸が難しいとき、その難しさは「呼吸が下手」ということではなく、体全体が力んでいるサインであることがあります。体の使い方に目を向けてみると、呼吸に対する見方が変わってきます。

呼吸だけ一生懸命練習するのではなく、体の整え方から入る。そんな視点に興味を持った方は、よければ一度のぞいてみてください。

ピラティスで変化が感じにくい理由については、こちらの記事も参考にしてみてください。 → ピラティスを続けているのに体が変わらない。その理由は「頑張り方」にあるかもしれない

体幹が入らない感覚についての視点は、こちらで詳しく触れています。 → ピラティスで体幹が入らない、軸がぶれる。入れようとするほど逆効果になっていないか

体の使い方を体験してみたい方へ

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